someって曖昧→遠回し→皮肉!?
EUDORA “I GAVE IT TO THAT KITTY NEXT DOOR”
SNOOPY “KITTY?!”
“SOME KITTY!”
毛布が手放せない男の子ライナスは、サリー(チャーリー・ブラウンの妹)の友達のユードラにうっかり大事にしていた毛布をあげてしまいます。ライナスから取り返してほしいと頼まれたスヌーピーは、ユードラの前で「世界的に有名なディスコダンサー」に変装して、ユードラの気を引いて毛布を取り返そうとします。
ユードラは、もらった毛布を隣に住む子猫にあげたといいます。
それは子猫と呼ぶにはあまりに獰猛で巨体。唸ったり引っ掻いたりする様子に
“SOME KITTY!”とスヌーピーは恐れます。
このsomeって何でしょう。someは「いくつか」という意味で複数名詞が後に来ますよね。この意味でしたらkitty(子猫)は複数形のkittiesになりそうですが、ここではそうではありません。ですから数量の「いくつか」という意味では使っていないようです。
someは「いくつかの」「一部の」という意味ですが、つまり「多くもなく少なくもない」ということです。具体的な数量は示されていません。
「いくつかの」「一部の」というだけでなく意外とこんな意味もありました。
1 a fairly large number of people or things or a fairly large amount of something
(かなり多数の人や物、かなり多くの量の物)
(ロングマン英英辞典より)
「いくつか」を指すsomeは「かなり多くの」という意味も含んでいるのです。「沢山の」を意味するmanyよりも少なく、やんわりと多い感じの表現ですね。
また、someは数量の表現だけでなく、someのあとに続く単語そのものを曖昧に説明できる単語でもあります。特定の物を指さないのです。
2 used to mean a person or thing, when you do not know or say exactly which
(正確にどれかわからないあるいは言えない人や物を意味する)3 used when you are talking about a person or thing that you do not know, remember, or understand, or when you think it does not matter
(覚えていない理解してないもしくは問題としてない人や物について伝えるときに使う)(ロングマン英英辞典より)
someone,somethingといった代名詞もこの事に関係してますよね。
さらにsomeはその曖昧さから質についていい意味あるいは悪い意味でも曖昧に表現できるのです。
4 used to say that something was very good or
very impressive
(とても素晴らしい物や印象的な物についていう時に使う)5→some friend you are/some help she was etc
※皮肉を込めて「なんていう友達なの」「とても彼女は役に立った」などと言う時(ロングマン英英辞典より)
4と5の意味ではこんな例文が載ってます。
(英辞郎 on the webより)
大した、なかなかの、かなりの(量の)、相当な◆良い意味で
・He's some fellow. : 彼はなかなかの人物です。
・This is sure some car. : これは大した車です。大した~だよ、とんでもない、ひどい◆皮肉っぽく悪い意味で
・I learned later (that) he is some politician. : 後で分かったことだが彼は大した政治家です。
・Some teacher he is! : 彼はとんでもない教師だ!
ここでは子猫の質について子猫ではなく獰猛な猫ですから皮肉を込めて「大した子猫だよ!」とか「とんでもない子猫だよ!」とスヌーピーはぼやいていたことになります。
someのもつ曖昧なニュアンスから多くの意味が育ってきたような感じですね。